新築で家を建てる際に多くの人が頭を悩ませるのが、外構を依頼するタイミングです。
ハウスメーカーとは別に、専門的な知識と技術のある外構業者に依頼したい場合、この悩みに悩まされてしまう方はたくさんいます。
そこで今回は、新築外構工事のタイミングについて必要な知識をまとめました。合わせて賢く外構工事を依頼する際のポイントもお伝えします。
新築と外構のスケジュール
外構工事をスムーズに行うには、新築と外構それぞれの工事スケジュールをおさえておく必要があります。まずは基本的な新築・外構工事の流れとその違いをおさえましょう。
家づくりのスケジュールと契約タイミング
新築の工事は以下の流れで進みます。
手順 |
期間(目安) |
内容 |
契約 |
完成6~4か月前 |
新築施工を依頼・契約する |
間取りなどの打ち合わせ |
内装や設備の色・デザイン・グレードを決める |
|
地鎮祭 |
完成3か月前 |
家を建てる土地にて儀式を行い基礎工事を始める |
上棟 |
完成2か月前 |
大工さんの手で家を建て始める |
完成と引き渡し |
完成当日 |
完了検査や確認後手続きを行い引き渡しとなる |
引っ越し |
引き渡し後 |
最後に家具などを新居に引き入れる |
なお、作業にかかる期間はあくまでも目安です。新築の間取りや設備によっては、より時間がかかる場合もあります。あくまでも目安として捉えておきましょう。
外構作りのスケジュールと契約タイミング
では、外構はどれだけの手順と時間がかかるのでしょうか。主な流れをまとめたのが、以下の図です。
手順 |
期間(目安) |
内容 |
イメージの検討 |
最長1ヶ月 |
どのような外構を作るかざっくりとしたイメージをまとめる |
業者探し |
実績や見積もりから相談・依頼する外構業者を選定・依頼する |
|
現地打ち合わせ |
決定した業者と現地で打ち合わせする |
|
施工開始 |
最長3ヶ月 |
打ち合わせなどを元に外構を施工してもらう |
完成 |
完成後各種手続きを終えて完了 |
外構工事は打ち合わせなどを含めても、家を建てる時ほど施工期間はかかりません。しかし、土地や地盤・季節や気候によっては、上記のスケジュールよりも施工期間が延びてしまう場合もあります。
施工を依頼する際は、こうした要素も加味したうえでスケジューリングしなくてはなりません。
外構工事にかかるおおよその費用
施工を依頼する際、気になるのは期間だけではありません。費用やその相場も重要な要素です。庭の広さや希望する施工内容により異なりますが、目安としては以下のようになります。
工事規模 |
内容 |
費用相場 |
小規模工事 |
・庭の手入れ ・エクステリアの改修 |
数十万~数百万程度 |
中規模工事 |
・駐車場の新設 ・テラスやウッドデッキの建設 |
300~800万円程度 |
大規模工事 |
庭園の造成など |
1,000万円以上 |
外構工事を依頼する際は、どの程度の規模で施工してもらうかをイメージし、そのうえで予算を決定しましょう。あらかじめ予算やイメージを決めておけば、スムーズに施工を依頼できます。
新築外構工事のタイミング
では、新築・外構工事の流れと費用をおさえたら、次は施工を依頼すべきタイミングをチェックしましょう。施工を依頼するのに丁度いいタイミングと、それを逃した場合のタイミングなどを解説します。
見積もり・打ち合わせベストタイミングは建物が確定する前!
新築の外構工事を依頼するベストタイミングは、建物が確定する前です。
外構施工業者は、建物や桝などの位置を確認したうえで詳しい施工内容を詰めていきます。間取りや図面からでもこれらの位置は分かりますが、あくまでもざっくりとした内容しか分かりません。
内容の薄い提案をされる・思ったような施工にならず追加工事をするなどのトラブルを避けるためにも、このタイミングから外構工事を依頼しましょう。
外構工事を避けるべきタイミング
外構工事は依頼のベストタイミングとは逆に、避けた方がいい期間もあります。それが、新築引き渡し1ヶ月前です。この時期に依頼してしまうと、以下のようなリスクが発生します。
- 打ち合わせの時間が少なく満足いく外構を依頼できなかった
- 外構業者とのすり合わせに失敗した
- 引っ越し前に外構工事が完了していない
このようなトラブルを避けるためにも、新築施工完了が近付いた時期を避けられるようなスケジューリングを意識しましょう。
外構工事は新築施工後でも可能
では、ベストタイミングを逃してしまった場合は、どうすればいいのでしょうか。この場合、施工完了後に依頼した方がトラブルが少なくなります。どうしても施工できなかった場合は、いったん工事が完了するまで待ちましょう。その後、改めて外構工事を依頼してください。
外構工事が遅すぎると発生するリスク
外構工事は新築施工後でも問題ありませんが、あまりにも長い期間取りかからないでいると、別のリスクが発生します。適切なタイミングで施工を依頼するには、以下のリスクもおさえておかなくてはなりません。外構工事が遅すぎるリスクを知り、これらも考慮したうえで検討しましょう。
予算不足になる
家の建築費用に多くの予算を割いてしまうと、外構工事まで費用を回しきれない場合があります。これは、新築施工後に修繕工事などの必要が発生した場合や、定期メンテナンスが必要になる時期まで放置した場合も同様です。
また、予算がないと業者の選択肢も限られるため、価格交渉の難易度も高まります。費用がかさむだけでなく、満足感の低い仕上がりになるリスクが発生するのも、施工が遅れたときに発生しかねない問題です。
外構工事の計画やイメージは、新築施工前に費用面の計算も含めて検討しておきましょう。
生活が不便になる
外構工事中は庭に資材やフェンス・場合によっては施工用の機械などを置くことになります。当然、車や人の出入りも制限されます。施工後、特に引っ越し後に依頼する場合、工事期間中は不便を強いられます。これもまた、見逃せないリスクです。
せっかくの新築のお家で快適に過ごしたいなら、ベストタイミングで施工依頼ができるよう家を建てる時点からしっかり計画しておきましょう。
防犯や安全面の不安が発生する
敷地の目隠しやフェンス・街灯なども外構の一部です。これらがない状態では、防犯面や安全面でのリスクも高まります。
施工を依頼しようとしていたら、別のトラブルが起きてしまいそちらに費用を取られてしまったという事態になれば、せっかくの新築や外構に苦い思い出が加わってしまいます。万が一の事態が発生する恐れがあるのもまた、外構工事が遅れる際に想定できるリスクのひとつです。
外構工事は引っ越し前後でメリット・デメリットが変わる
新築施工後の外構工事は、状況によりそれぞれメリットとデメリットがあります。外構工事の施工依頼が遅れてしまったときは、施工後または引っ越し前後のどのタイミングで依頼するかも含めて見極めましょう。
状況や発生するメリット・デメリットに応じてスケジュールを調節してください。
引っ越し前に外構工事をするメリットとデメリット
引っ越し前に外構工事を済ませておけば、防犯面や安全面のリスクをある程度軽減できます。引っ越しが終われば家も庭も手続きなしですぐ使える状態にできるのが、このタイミングのメリットです。
また、外構の進捗を確認しながら見守れるので、思った通りの仕上がりになっているかをチェックしやすいというメリットもあります。
一方、引っ越しの準備や外構工事の期間がずれ込む・スケジューリングが甘いなどの状態だと、予定が重なってしまうこともあります。最悪の場合、引っ越しのために施工期間を延ばして費用が予想以上にかかってしまった、という状態になりかねません。
きちんとスケジューリングしていても予想外の工事が発生したケースもあります。施工期間が延びるリスクは完全には避けられないと覚えておきましょう。
引っ越し後に外構工事をするメリットとデメリット
引っ越し後に外構工事を依頼する場合、家に住んでいる状態で得たニーズを反映させやすくなります。生活上の問題や改善点を含めて依頼できるため、より便利な庭を作ることも可能です。
一方、引っ越し後に施工依頼する形だと、引っ越しが完了するまで作業が後ろ倒しになります。また、施工中の庭や駐車場は使えません。引っ越し後の外構工事は、何かと不便を強いられます。
外構工事の依頼は季節にも注意が必要
外構工事の工期が影響するのは、新築施工やその進捗だけではありません。季節ごとに特定の影響も受けます。スムーズに庭作りを進めるには、季節ごとの特性と依頼するベストタイミングをおさえておくことも大切です。
春夏秋冬それぞれの特徴と、外構工事を依頼するベストタイミングを解説します。スケジュールの参考にしてください。
春と秋の特徴と発注のベストタイミング
春と秋は気候が穏やかで新築・外構ともに工事に適した季節です。
春は4〜6月まで、秋は9〜11月までがベストタイミングとなります。
なお、春は梅雨と重なる時期ですと悪天候により施工が送れる恐れもあるため、ご注意ください。
夏の特徴と発注のベストタイミング
夏は高温多湿のため、施工に使う建材などが乾燥しにくいうえに、暑さによって工期が遅れる恐れがあります。
雨や台風の影響もあるため、施工を依頼する際は注意しましょう。
ベストなタイミングとしては、早春または初秋に計画をして、暑さが厳しい時期を避けるように依頼します。
暑さの厳しい時期を避けられない場合は、工期に余裕を持たせて対応しましょう。
冬の特徴と発注のベストタイミング
冬は寒さや雪・地面の凍結によって施工できない期間が発生する恐れのある季節です。
施工を依頼する際は、1〜2月の寒さが厳しい時期は避けましょう。
比較的温暖で施工のチャンスが巡ってきやすい晩冬から初春に施工期間が来るよう計画してください。
賢く外構を作るためのポイント
お得に満足感ある施工を成功させるには、時期と合わせていくつかこだわっておきたいポイントがあります。工期のタイミングを見極めつつ、以下の内容もおさえておきましょう。
建物と桝の位置はずらせない
新築建築の際注意したいのが、家をはじめとした建物とその配管・桝の位置です。
これらは一度決定すると基本的には変更できません。
また、桝がある位置に階段などの外構を作ろうとすると、桝が機能するための広さを確保しなくてはならないため、階段の広さがバラバラになります。
基本的に桝のある位置には階段は作れないと思いましょう。
家を建てる土地にある程度の広さがあれば、外構や建物の配置を工夫して対応できますが、それにも限界があります。
建物や配管・桝の位置も理解したうえで施工内容を決定しましょう。
業者を選ぶときの判断基準
満足いく外構を得るには、施工を担当する業者を適切に選ぶ必要があります。
業者に依頼する前に、複数の業者をピックアップしましょう。
依頼先を選ぶときは、以下のポイントに注目しながら選んでください。
- 営業年数:長ければ長いほど実績やノウハウが蓄積されているため、幅広い提案ができます。目安としては、10年以上営業しているところがおすすめです。
- 実績や直近の施工例:実績、特に直近の施工例はその業者の実力が分かる判断材料です。どのような外構が得意なのか、スムーズに対応してもらえるかが分かります。
- コンテスト受賞歴:コンテスト受賞歴は業者の実力を第三者から公平に評価された証拠といえます。希望する工法や商品があれば、それに関連した受賞歴があるかをチェックしましょう。
- 補償制度:補償制度は万が一の事態の時どう対応してくれるかが分かるほか、業者が自分たちの仕事に自信を持って取り組んでいるかが分かります。
- 問い合わせ時の対応:きちんとしている業者は問い合わせの際の対応も丁寧で優しい対応を心がけています。
これらのチェックポイントをよく見極め、そのうえで自分達の希望を叶えられる業者を選びましょう。
見積もりのチェックポイントとお得になるテクニック
依頼先の業者を選ぶ際は、必ず見積もりを出してもらいましょう。
見積書には工事内容や料金が詳細に記載されているため、費用だけでなく工事内容が自分たちの希望に合っているかも分かります。
なお、料金が明確に記載されているか、追加料金が発生しないかも欠かさずチェックしてください。
ちなみに、依頼するときに「相見積もりでお願いします」と伝えておくと、複数業者から選んでいることをアピールできます。
依頼が欲しい業者は、ほかの業者に競り負けないようにするため、サービスしてくれる可能性があります。
少しでもお得に依頼するためにも、必ず相見積もりを依頼していることを伝えましょう。
まとめ
外構工事をスムーズかつ満足いく内容にするには、依頼するタイミングが重要です。
新築の施工や引っ越し・季節などの複数の要素を見極めつつ、適切なタイミングで依頼しましょう。