新築住宅に良く設置される外構設備のひとつが、門扉です。多くの住宅で採用されている門扉は、住宅の顔としての役割を持っています。現在販売されている門扉にはさまざまな機能が搭載されており、設置の際はそれぞれの機能などを踏まえた上で検討することが大切です。
そこで本記事は、門扉を設置する前にチェックした方がいい、門扉の役割やタイプ・素材などの知識をまとめました。新築住宅の外構工事を予定している方は、ぜひご覧ください。
外構の門が果たす役割
門は外構設備のひとつであり、以下の役割があります。
まずは役割を抑えていきましょう。
境界線を明確にする
門と塀を設けることで、自宅の敷地がどこからどこまであるのかを明示できます。公道や他の家との境界線を明確にすることで、通行人や近所に住む方が間違えて敷地内に入ってしまう事態を予防できます。
家同士の境界線トラブルや車や通行人の侵入によるトラブルを防ぐのは、門や塀の代表的な役割です。
プライバシーの確保
門扉や塀は、周囲からの視線を遮るという役割もあります。
敷地内での作業はもちろん、家の中にいる様子は意外と目につくものです。カーテンを閉めてもその隙間から見える光景や明かりの状態がわかれば、ある程度生活の内容を察することもできます。
門扉と塀があれば、外からプライベートが覗かれる心配がありません。高く、視線を遮るようなデザインを採用すればその効果はより高まります。また、あえて見通しのいいデザインにして、外からも不審者の侵入が分かるようにしている家もあります。
防犯性や安全性の向上
カギ付きの門扉であれば、不審者や泥棒などが敷地内に入り込むのを防げます。自宅内への侵入はもちろん、カーポートやガレージに置いているものの盗難予防にも有効です。
また、子どもやペットが敷地外に飛び出してしまう事故を予防する効果もあります。遊んでいる最中ふとした瞬間に敷地外に出ようとしても、門扉がきちんと閉まっていれば飛び出す心配もありません。思わぬ事故を防ぐ重要な役割も果たしています。
門扉の主な種類
一口に門扉といっても、その種類はさまざまです。次は門扉の主な種類について解説します。
片開き型
門扉を押すまたは引く動作で開閉するタイプです。シンプルな作りのため、多くの一戸建てで採用されているタイプでもあります。扉がひとつしかなくコンパクトなので、横幅の狭い家や敷地にも設置できるのがメリットです。
外開きにすると門を開けたときに車や通行人に接触するリスクがあるため、家側に向かって押し開けるタイプが多い傾向にあります。
両開き型
2枚の扉を中央から左右へ開閉するタイプです。片開きタイプと同じくらいよく見かける門扉でもあります。
観音開きで開け閉めするため片開きよりもスペースが必要ですが、左右の扉を開ければ出入りのスペースを広く取れるため、大きな荷物も楽に移動できます。左右のバランスがよく、見栄えがいいのも特徴です。
親子開き型
扉の大きさが左右非対称なタイプで、普段は主に大きな扉を開閉して移動します。小さい扉は、荷物の搬入など広い間口が必要な場合に動かします。片開きタイプの使い勝手のよさと、両開きタイプの間口の広さを両立できるタイプです。また、左右非対称だからこそできるデザインを楽しめるのも、親子開き型の利点といえます。
アコーディオン型
横に引いて開け閉めするタイプで、開けたときに扉をアコーディオンの様に折り畳めるのが特徴です。開き戸を設置するスペースがなくても設置できます。比較的リーズナブルな費用で設置できるのも魅力です。
さまざまな利点から多くの一戸建てで採用されていますが、他の扉に比べると軽量なため、強風などの衝撃に弱い等のデメリットもあります。また、軽量な分ほかのタイプよりも衝撃に対する耐久度があまりないのも注意すべきポイントです。
スライド型
こちらも引いて門を開けるタイプですが、扉が左右にスライドします。スペースがない場所でも開閉幅が気にならないので、設置しやすいのがメリットです。
また、広い間口スペースを確保でき、ベビーカーや車いすでも楽に移動できます。これらを利用する家族や、将来的に必要になる場合におすすめのタイプです。
門扉の素材や材質の特徴
門扉はタイプごとに一長一短ありますが、素材や材質によっても違いがあります。門扉のタイプと共に、素材や材質の特徴もおさえておきましょう。
アルミ形材
門扉の素材でもスタンダードなのが、アルミニウムです。アルミには2種類のタイプがあり、アルミ形材はアルミニウムを押し出し型の中を通すことで作られるタイプです。コストパフォーマンスに優れています。シンプルでモダンなデザインも特徴です。
また、家や外構の種類を選ばず設置できます。サビや腐食に強く軽量なのも魅力です。モダン系のデザインで統一した外構や新築に併せる場合は、アルミ形材のものを選ぶといいでしょう。
アルミ鋳物
アルミ鋳物とは、アルミ合金を鋳型に流し込んで成形したものです。軽量かつサビや腐食に強いのはアルミ形材と同じですが、アルミ鋳物は形材よりも重厚感あるデザイン性に優れたものが多いという特徴があります。
同じアルミ製でも成形方法によりデザイン性が大きく異なる関係から、設置にかかるコストやデザイン、機能による違いにも注目しましょう。
木製
天然木を門扉に加工したタイプです。ナチュラルな雰囲気と質感が特徴で、温かみのあるデザインを楽しめます。カントリー系の洋風デザインだけでなく、和風の外構とも相性がいいのも特徴です。
素朴なデザインから高級感あるものまでさまざまな形で楽しめる一方、金属製の物に比べると耐久性は低い傾向にあります。防腐処理などもされていますが、雨風にさらされ続けると腐食してしまうのは避けられません。定期的なメンテナンスが必要です。
樹脂
樹脂を天然木などの素材に似せて作った門扉で、軽量かつサビや腐食の心配がありません。ほかの素材に比べると色やデザインの選択肢が多く、コストも安く抑えられるため手軽に設置できるメリットがあります。
メリットがたくさんある樹脂製ですが、耐久度は金属ほどあるわけではありません。また、紫外線で劣化することもあります。デザインによっては安っぽく見えるケースもあり、デザインセンスが問われる素材です。
鉄製
重厚感あるデザインが特徴で、ヨーロッパ風の住宅や輸入住宅などに採用されることの多い素材です。シンプルなものから高い装飾性を誇るものまで、さまざまなデザインが採用されています。住宅だけでなく、店舗の門扉にも使われることの多い素材です。材質の特性上重たく扱いにくいですが、その分耐久性や防犯性に優れています。
長く使い続けることで独特の味わいが出る魅力もありますが、湿度が多い日本では錆びやすく、定期的なメンテナンスが必要です。高い性能を誇りますが、メンテナンスコストが気になる場合は避けた方がいい素材といえます。
スチールメッシュ製
メッシュフェンスに採用されがちな素材で、シンプルなデザインが特徴です。鋼製のため高い耐久力を誇りますが、軽量で扱いやすさに優れています。光や風が通るので、ガーデニングスペースにも適しています。
開放的なデザインにしたいけど、門の耐久性で迷っている場合は、スチールメッシュ製の門扉を候補に入れるといいでしょう。
門扉選びで失敗しないためのポイント
門扉はデザインや素材などのさまざまな要素を考慮しながら選ぶ必要があり、選ぶのが難しい外構でもあります。門扉を選ぶ際には、以下のポイントをおさえながら検討しましょう。
防犯性を考慮する
門扉の役割のひとつに、不審者や泥棒などから家や敷地を守る役割があります。設置を検討する際、どうしてもデザインなどに目が行きがちですが、重要視すべきは防犯性です。設置する門扉を選ぶ際は、以下のポイントをおさえているか必ずチェックしましょう。
- 素材の耐久性
- カギの有無と種類
- 門扉の高さ
せっかく門扉を設置しても、簡単に乗り越えられるものや壊されてしまうものでは意味がありません。耐久性に優れた素材を選びましょう。防犯性を重視したい場合は、鉄製などの耐久力の高い材質を中心に検討するのもおすすめです。
また、防犯性を維持するには鍵の有無や種類も重要です。カギが付いているのはもちろんですが、通常のカギだけでなく、電子錠やオートロックを導入しているものも視野に入れましょう。
門扉と塀を設置しても、低いと防犯効果を十分に発揮できません。防犯性やプライバシー保護機能を重視するなら、1.8m以上の高さのものを選びましょう。また、よじ登れるような凹凸などがないかも重要なチェックポイントです。
耐久性とメンテナンス性を考える
門扉は屋外で利用される関係から、雨雪の影響を常に受けます。デザインによっては屋根などが付いている場合もありますが、それでも完全に防げるわけではありません。天候による影響に対する耐久性と、メンテナンスのしやすさにも注目して選びましょう。
例えば、アルミやステンレスは耐久性が高くサビや腐食にも強い材質です。耐久性が高ければその分修理などのメンテナンスにかける費用や手間も軽減できます。外構のメンテナンスにかける手間を少しでも軽減したい場合は、耐久性の高い素材を選ぶようにしましょう。
開き方ごとの利便性にも注目する
門扉の利便性は開き方によって変わります。大きな荷物などを運び込む場合、両開きタイプなど、間口を大きく取れるタイプの方が便利です。一方、敷地が狭いなど間口が広く取れない場合は、片開きタイプなどの方が使いやすいでしょう。
また、近年は門扉にさまざまな機能を搭載できるようになりました。センサーを察知して電動で開閉する機能などが搭載されているものもあります。開閉を手間なくできる機能を搭載するかも、門扉を選ぶ際にはおさえておきたいポイントです。
配置や動線にも注意して
門扉の利便性は配置によっても大きく変化します。玄関から門までの動線も意識しましょう。プライバシーの保護機能を維持しつつ、スムーズに玄関や敷地に入れるかもよく考えた上で設置してください。
よく採用されているレイアウトとしては、以下のものがあります。
- I字型:敷地内への最短ルートとなる配置で、門扉を設置する際の代表的なレイアウト
- R字型:斜めに敷地内を進む配置で、視線の変化や植栽を活かした空間デザインが楽しめる
- S字型:玄関が門に向かって斜めに配置されており、アプローチに方向性を与えつつ視界に変化を生んでいる
- L字型:門から玄関の動線がL字型になる配置で死角に変化をもたらしつつ防犯機能を向上させている
配置の際は、これまでのポイントをおさえつつ門扉に求める機能に合わせて選択していきましょう。植栽や照明の配置も加味することも忘れずに確認しましょう。
家やほかの外構と統一感あるデザインを選ぶ
意外と見落としがちなのが、家や他の外構デザインとの統一性です。例えば、家がモダンな外観なのにカントリー調の門扉を選んでしまうと、デザインの不一致でちぐはぐな印象を与えてしまうことがあります。
このような事態を避けるためにも、門扉を選ぶ際は家やほかの外構設備のカラーやデザインにも注目しなくてはなりません。機能や防犯面にばかり注目せず、全体を見たときの統一感もチェックしておきましょう。
まとめ
新築外構の機能やデザインの決め手となる門扉は、さまざまなタイプと材質があります。設置の際は、機能やデザインなどの複数要素をおさえつつ、管理しやすいものを選ぶのがポイントです。
同じメーカー・材質でも、デザインや搭載された機能によって使い勝手は大きく変化します。迷ったときは設置業者と相談しながら決めましょう。
ザ・ガーデンでは新築住宅に門扉を取り付ける施工も受け付けております。門扉にほしい機能やデザインなどをご相談いただければ、ご要望に寄り添ったアドバイスや提案ができますので、お気軽にお問い合わせください。