車やバイクを持っている方に必ず必要なのが、駐車場をはじめとした駐車スペースです。この中でもガレージよりも設置しやすく使い勝手のいいカーポートは、多くの方が施工を依頼しています。
しかし便利な一方、設置を後悔している声もゼロではありません。後悔しない庭造りのためには、一見すると必要なものでも本当に設置すべきか判断することが大切です。そこで本記事は、カーポートの設置を判断するポイントと使いやすいものを選ぶための注意点をまとめました。
新築に合わせてカーポートを設置したい・使いやすいカーポートを選ぶ基準を知りたい方は、ぜひご覧ください。
カーポートとは
カーポートとは、車庫の一種で屋根と柱で構成されています。車やバイクを直射日光や雨雪から守るのが主な機能です。
ガレージとの違いとしては、四方が解放されているため通気性があり、車や荷物の出し入れ・積み下ろしがスムーズにできる点があげられます。また、簡易的な仕組みな分費用や施工期間がかからないのも大きな違いです。
カーポートがあると得られるメリット
カーポートがあるとさまざまなメリットを得られます。設置の前にどのような効果が得られるかを知っておきましょう。
悪天候でも乗り降りがスムーズ
屋根がない駐車場では、悪天候の中、傘をさしながら乗り降りしなくてはなりませんが、カーポートがあれば、そのまま乗り降りできます。また、荷物の積み下ろしもそのままできるため便利です。
小さいお子さんや高齢の方なども乗り降りしやすく快適に過ごすことができます。
車やバイクを悪天候の影響から守れる
駐車場に雨や雪が降ると、車やバイクが濡れたり汚れたりしてしまいます。雪が積もれば雪下ろしも必要です。カーポートがあれば屋根がそれらを防いでくれるため、汚れや雪下ろしの必要がありません。これもカーポートがあると得られるメリットです。
車やバイクを積雪やそれによる凍りつき・汚れから守ることができれば、その分劣化を防ぐ効果も期待できます。車やバイクを少しでも長持ちさせたい場合は、カーポートの設置をおすすめします。
ガレージよりも安価で設置できる
カーポートは柱と屋根だけでできているため、四方を囲んで屋根をつけるガレージよりも安価に設置できます。予算の問題でガレージを建てることができない場合でも、カーポートなら設置できるという方もいるかと思います。
また、シンプルな作りであるため、施工期間もガレージに比べると短く済みます。設置の際の負担が少ないのも、カーポートのメリットです。
庭でのレジャーや作業に活用できる
カーポートの活用方法は、駐車場としてだけではありません。バーベキューやプールなどのレジャーや、DIYの作業所としても活用できます。カーポートがあれば、炎天下や雨天でも快適に遊びや作業ができるのもメリットのひとつです。
このことから、庭に駐車場としての機能だけでなく、遊びや作業を快適にできる空間としての役割を付けたい場合にも、カーポートは便利な外構であるといえます。
カーポートが抱えるデメリット
メリットの多いカーポートですが、デメリットもあります。設置を検討する際は、以下の内容も考慮しながら決定しましょう。
置ける車やバイクのサイズ・台数に制限がある
カーポートには駐車できる車やバイクのサイズが限られています。台数も同様です。一度設置してしまうと、敷地の車やバイクに制限がかかってしまうのはデメリットといえます。
外構工事後に家族が増える可能性がある場合は、それも見越してカーポートのサイズを検討した方がいいでしょう。ある程度サイズに余裕があれば、車を買い替えたり増やしたりしても対応できます。どれほどサイズを確保したらいいか分からないときは、外構業者に相談してください。
追加の設置費用がかかることも
カーポートを大きくしたい場合、別途追加の工事費用がかかります。家族の人数や車に応じて調節するための費用がかかるのもまた、デメリットです。
急遽カーポートのサイズや種類を変えなくてはならない場合、その費用は工事完了後に支払う必要があります。外構工事の費用を新築時の住宅ローンに組み込んでいた場合、これらの費用は対象になりません。結果、完成後にまとまったお金を支払う必要が発生してしまいます。
たとえ新築時にこのような事態が発生しなかったとしても、後々改装する必要があるならそのための費用を用意しておかなくてはなりません。場合によっては、設置を後悔するケースもあります。
カーポートの設置における判断ポイント
カーポートの設置を後悔しないためには、いくつかの判断ポイントをおさえておく必要があります。設置の前に以下のポイントについて振り返ってみましょう。
車やバイクなどを持っているか
カーポートは車やバイクを保護するための設備です。これらがなければ当然必要ありません。車やバイクを持っていない・購入する予定も無いなら、設置しなくてもいいでしょう。
自転車等を保護したい場合は、より小さいまたは安価な設備でも対応できる場合もよくあります。カーポートほど大きな設備は不要だけど、雨風から守るものを設置したい場合は、その旨を外構業者に相談してみてください。きっといいアイデアを教えてくれるはずです。
所持している台数とそれぞれのサイズ
新築時に車やバイクを持っており、台数やサイズが今後代わる予定が無いなら、それに合わせてカーポートの設置を検討してもいいでしょう。
車やバイクを置くことがはっきりしているが、台数やサイズの変更まで分からない場合は、サイズに余裕をもって設置することをおすすめします。サイズに余裕があれば多少変化があってもその中で対応できます。予定が分からない場合は、予算や庭の広さが許す限りのスペースを確保しておきましょう。
カーポートを設置する際の注意点
カーポートを設置したことを後悔しないためには、いくつかの注意点をおさえておくことも大切です。設置の際注意しておきたいポイントを解説します。
スムーズに出入りできる場所に設置する
カーポートの位置が家や道路から離れていると、スムーズに出入りできません。車の使用頻度が高いと、車の駐車や発進ができないだけでもかなりのストレスを感じます。カーポートを設置する際は、家または門からの動線を確認した上で設置しましょう。
また、家から近すぎる位置などに設置してしまうと、日当たりを遮るなどのトラブルが発生することもあります。設置の際は家の機能を阻害しないかも忘れずチェックしてください。
車やバイクのサイズ・台数に合わせた間口と奥行きを確保する
カーポートの設置に必要な広さは、車やバイクの台数やサイズによって異なります。設置する際は以下の要素を確認しておきましょう。
- 間口:車の幅+100~150cm
- 奥行き:車の全長+60cm以上
- 高さ:車高+30~50cm
間口は車のドアを開く関係から広く取っているため、バイクの場合はここまで必要はありません。なお、車だけの場合でも運転が苦手なら必要スペースよりも広く確保しておきましょう。余裕があれば駐車が苦手な方でもスムーズに停められます。
カーポートの屋根は小さいとその分雨雪が吹き込みやすくなります。屋根の高さやサイズは、車やバイクの大きさギリギリに設置するのではなく、車やバイクの外側に人がいても濡れないサイズのものを選んでください。
柱の位置をチェックする
カーポートは柱で屋根を支える仕組みです。この柱は商品ごとに位置が異なります。これもまたカーポートの使いやすさに直結するため、注意しましょう。
- 片側のみにあるタイプ
- 左右両側にあるタイプ
- 後方にのみ柱があるタイプ
例えば、駐車場にあまりスペースがない場合、左右両側に柱があるタイプを選んでしまうと駐車しにくくなる場合があります。カーポートを設置する場所によっては、片側タイプの方が使いやすいケースも少なくありません。また、駐車が苦手な場合、柱が少ない後方タイプの方が使いやすいでしょう。
カーポートを構成する素材にも注目
カーポートを構成する素材もまた、商品ごとに異なります。素材によりメンテナンス頻度や方法が変わるため、素材も合わせてチェックしておきましょう。
よくある素材 |
特徴 |
|
構造体 |
|
防錆対策が必要 |
屋根 |
|
耐熱機能が搭載されているものがある |
床 |
|
素材によって耐えられる車の重量が異なる |
車の重量や設置目的・メンテナンスできる頻度により、適切な素材は変化します。迷ったら外構業者に自分の車やカーポートにほしい機能を伝えながら相談しましょう。
設置する地域の天候に合わせたものを選ぶ
地域により、強風や雨雪の影響が大きい場所があります。たとえば豪雪地帯に普通のカーポートを設置してしまうと、雪の重さでカーポートがつぶれてしまいます。このような事態を避けるためにも、地域の天候に合わせたタイプを設置しましょう。
例えば、台風による被害や強風が発生しやすい地域は、耐風圧強度の高いタイプがおすすめです。毎年雪が降るような地帯なら、耐積雪強度タイプを選びましょう。また、日差しの強い地域だと、屋根に耐熱加工や紫外線による影響を防ぐ加工を施しているものを選ぶと安心です。
カーポート設置にかかる費用
カーポートは材質や耐久性・床材の種類によりかかる費用が異なります。新築施工時に設置する場合の目安金額としては、家や外構の工事費用に80〜100万円弱ほどかかるとみていいでしょう。多めでも35年ローンなら月の支払いは3,000円程度です。
傾向としては、2台用以上の場合、柱が片側または後方のみのタイプの方が値段は高めです。台風・耐積雪などの機能が搭載されるとその分高くなります。また、床材をコンクリートにする場合やオプションでコンセントなどをつける場合、建材だけでなく施工にかかる費用が発生する点に注意しましょう。
カーポートの種類に限らず、設置の際は予算やローンの支払える額を超えないよう注意してください。
カーポートにありがちな疑問
カーポートをはじめとした建物に近い形の外構を設置する際、気になるのが固定資産税や建ぺい率です。最後にこれらの疑問について回答するので、こちらもあわせて覚えておきましょう。
カーポートは固定資産税の課税対象となる?
結論からいうと、カーポートは一般的には固定資産税はかかりません。固定資産税は、以下の条件を満たしている建物にのみ発生します。
- 基礎などで土地に定着している
- 屋根や壁などで外気から遮断された空間を持っている
- 住居・事務所・店舗などの用途に使用可能である
カーポートは柱と屋根のみで構成されているため、2番目の条件を満たせません。基本的には対象外となります。どうしても気になる場合は、カーポートを建てる土地を管理する自治体や税理士などのプロに質問しましょう。
(※例外もあります)
カーポートは建ぺい率に含まれる?
建築基準法では建築物とみなされるため、建ぺい率に含まれます。敷地に対して大きな家を建てるとカーポートが建てられない可能性がある点に注意しましょう。
なお、以下の条件を満たしていれば、建ぺい面積の緩和措置を受けられる「高い開放性を有する構造の建造物」に該当します。
- 外壁のない部分が連続して4m以上
- 柱の間隔が2m以上
- 天井の高さが2.1m以上
- 地階を除く階数が1階のみ
条件を見ると分かりますが、多くの標準的なカーポートはこの緩和条件に該当します。法規は都度変わりますので注意は必要です。
まとめ
カーポートは必ずしも必要な外構ではありません。後悔しないためには、本当にカーポートが必要か、必要なら適切なサイズや機能はどれを選ぶべきか慎重に見極めましょう。車やバイクの大きさや使い勝手・地域の気候に合わせたものを選ぶのがポイントです。
ザ・ガーデンではカーポートをはじめとした外構に関するご相談を受け付けております。設置するかどうかの判断から施工まで、幅広いお悩みにお答えします。新築でカーポートを建てたい方・建てる際気になる点がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。